企画概要
表現開発ゼミに所属するゼミ生とその担当教授である鈴木雄飛准教授含む11名が行った展示会です。自らのフェチズムをテーマとし、各々のフェチズムに対する解釈を通して作品制作に臨みました。また、来場者の方々にも日常に自分のフェチズムを見つけるヒントカードを特典として配布し、自分だけの“好き”に気づくきっかけとなるような場を目指しました。
活用方法
展示会において必要な作家紹介ボード、順路を示す看板パネルなど、印刷物の費用として活用させていただきました。
企画経緯
本展示は、表現開発ゼミに所属する学生たちが「フェチズム」というテーマを通して、自分自身の感性やこだわりと向き合うことから始まりました。
授業の中で、「なんとなく好き」「理由ははっきりしないけれど惹かれる」といった、日常の中にある小さな感覚を言葉にして共有するうちに、それぞれが持つフェチズムの奥深さや、その多様なあり方に気づくようになりました。そこから、個人の感覚に根ざした表現の可能性を広げていこうという思いが生まれ、本企画が立ち上がりました。
詳細
「フェチズム」という言葉は、一般的には偏ったイメージや一面的な解釈で捉えられることもありますが、私たちはそれを“個人の感性をもっとも素直に映すレンズ”としてとらえ、より肯定的に、そして自由に扱ってみたいと考えました。
自分でもうまく言葉にできないけれど確かに惹かれるもの、理由のいらない好き、感覚的なこだわりなど。そういったひとつひとつに真剣に向き合い、それぞれのフェチズムに対する解釈や視点を、11名それぞれが作品として表現しました。
また、ただ作品を鑑賞してもらうだけではなく、来場者の方自身にも「自分の中のフェチズム」に目を向けてもらえるよう、特典として“感覚チャレンジカード”を配布しています。これは展示のテーマや作品にちなんだ問いかけや視点を盛り込んだもので、自分にとっての「惹かれるもの」を再発見するきっかけとして受け取っていただければと思います。
展示全体を通じて、誰かの“好き”に触れることで、自分の中の感覚もふと揺さぶられるような、そんな豊かで多様な空間になることを目指しました。
企画の進捗状況や成果
5月1日から3日にかけて開催された本展示には、延べ200名以上の方にご来場いただきました。
会場では、作品をじっくりと眺めたり、展示間で来場者同士が感想を交わす様子も見られ、フェチズムというテーマを通じた対話や共感が自然と生まれていました。
来場者アンケートでは、「想像していたよりも、伝えたい熱に圧倒され、考えさせられる展示で面白かった」「それぞれの展示が個性的で良かった」「すべての作品に心を打たれました。私の中でぼんやりしていた目標や感情が、明確になるきっかけを感じました」といった、あたたかいご感想を多数いただきました。
企画を実施した感想
一人ひとりが自分の感性に真摯に向き合い、作品として表現するという試みは、想像以上に難しく、同時にとても充実したプロセスでした。何を「フェチズム」として捉えるのか、それをどう他者に伝えるか、自分の中で言葉にならなかった感覚を丁寧にすくい上げて形にしていく作業は、それぞれが自身を深く掘り下げるきっかけになりました。
そのようにして生まれた作品たちは、来場者の方々にも深く響いたように感じます。「誰かの“好き”に触れることで、自分の中の何かが動いた」といった声も多く寄せられ、私たち自身の表現が、他者の気づきや感情の揺れに繋がったという手応えを得ました。
今回の展示を通じて、私たち自身の表現の幅が広がったとともに、「個人のフェチズム」が他者とのつながりや、新たな視点を生むきっかけにもなりうることを実感しました。日常の中にある感性のかけらを大切にすることの価値に、改めて気づかされた展示となりました。